国債(個人向け国債)への投資

国債(個人向け国債)への投資

 国債とは、政府が発行する「債券」のことです。この債券も株式と同様に、市場において売買されるため、価格の変動があり、購入後に値下がりすると元本割れしてしまうリスクもあります。ただ、様々な種類の債券のうち、「個人向け国債」は国が額面金額を保証するため、この元本割れリスクが無く、従って安全性の高い投資手法といえます。特に、超低金利が続く現在の日本においては、「預貯金」よりも利回りが高く、安全性も担保されている「個人向け国債」は、魅力ある資産運用手段の一つといえるでしょう。

 現在、発行されている「個人向け国債」には、3年固定金利型(金利0.03%)、5年固定金利型(金利0.05%)、10年変動金利型(金利0.66%)の、3つの種類があります。何れも、最低1万円から購入でき、利子の受け取りは半年毎、発行後1年経過すればいつでも換金可能であり、投資初心者にとってもハードルは低いものといえるでしょう。一度、ネット証券会社に口座を開設しておけば自宅にいながら売買の手続きをすることができます。特に、10年ものの金利は、超低金利時代といわれる現在、「預貯金」の一般的な利率と比べても高率であり、魅力は十分にあります。

 このように、「預貯金」と同様の安全性があり、利回り等の条件も魅力的な個人向け国債ですが、保有にあたっての注意点は以下のとおりです。

 まず、満期前の中途換金を行う場合、直前に受け取った2回分(1年分)の利子を返す必要があり、これが差し引かれた額が手元に戻ってくることとなります。これを踏まえた着意の一例として、何年後かの決まった時期に必要となると見込まれる学資、車の購入費用、記念旅行代等のための必要額を、この個人向け国債の満期となる期間と整合させて保有しておき、できるだけ中途解約することの無い仕組みを作っておくことも一案でしょう。

 もう一つは税金です。預貯金と同様、国債の利子受け取りの際には、源泉分離課税として、所得税15%+住民税5%、併せて、2037年までの時限措置として「復興特別所得税」が所得税額に更に2.1%加算され、合計20.315%の税率が利子額に課せられて差し引かれることとなります。保有にあたり予め計算にいれておくべきでしょう。

 今回説明した「個人向け国債」は、元本割れリスクの無い、投資初心者と相性の良い資産運用手法ですが、この他、市場では数多くの債券が売買されており、その利率は1%以上のもの、場合によっては5%以上のものも存在します。もちろんそれぞれの銘柄の内容や、表面利率、保有期限等を踏まえ、実際の利回りを正確に計算するとともに、予期され得るリスクも勘案しておく必要があり、ある程度の知識や経験を要する取り組みとなります。投資初心者の方々は、まずは今回紹介した「個人向け国債」の保有を少額からでもスタートし、興味と関心を維持していくことが次のステップへの繋がりとなっていくことになっていくでしょう。

 自らの資産の現状把握を通じ、特に理由もなく「預貯金」が資産の大多数を占めているということであれば、まずは一部の資産をこの「個人向け国債」に分配してみては如何でしょうか。

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